藤井四段が五段に昇格できない理由(3)竜王戦と名人戦の昇格条件

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前回は「四段からが真のプロ棋士」という話とともに、四段から五段に昇段するための条件が5つあるということを書きました。

<藤井四段が五段に昇格できない理由(1)プロ棋士の世界を知る>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(2)なぜ藤井「四段」なのか>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(3)竜王戦と名人戦の昇格条件>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(4)公式戦100勝他の条件>

四段から五段への昇段条件5つ
・竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
・名人戦順位戦C級1組昇級
・タイトル挑戦
・全棋士参加棋戦優勝
・公式戦100勝

でも、これらの意味が全く理解できなかったので、この昇段条件についてさらに詳しく調べてみた結果をお伝えします。

この先を読んでいただければ、藤井四段がどうしたら五段に昇格できるのかがおわかりいただけると思います。

【「棋戦」「公式戦」「非公式戦」「タイトル戦」「一般棋戦」とは】

5つの昇格条件を調べる前に、プロの世界にはどんな戦いがあるのか、ということを理解しないといけません。

そこで、新聞やネットで調べてみたのですが、プロの戦いにはいろんな言い方があることが分かり、全く前へ進めません。

「棋戦」、「公式戦」、「非公式戦」、「タイトル戦」、「一般棋戦」などです。

これらが、同じ戦いを違う言い方で表しているだけなのか、それとも別の戦いのことを表しているのか。

はたまた、ひとつの戦いのことを表す言い方なのか、それとも複数の戦いをまとめて表す言い方なのか、よく分かりませんでした。

まずは、そこから紐解いていきたいと思います。

【「棋戦」と「公式戦」】

まず、プロ棋士が対戦する即ちタイトルを争う戦いのうち、日本将棋連盟が主催するものを「棋戦」と言います。

そして、「棋戦」は「タイトル戦」と「一般棋戦」とに分かれています

「タイトル戦」は下記の通り全部で8つあります。

■竜王戦
■名人戦
■叡王戦
■王位戦
■王座戦
■棋王戦
■王将戦
■棋聖戦

一方の「一般棋戦」は下記の7つがあります。

■朝日杯将棋オープン戦
■銀河戦
■NHK杯
■将棋日本シリーズ
■新人王戦
■上州YAMADAチャレンジ杯
■加古川青流線

そして、これら棋戦のことを「公式戦」とも言います。

正式には「棋戦」なのですが、世の中には「棋戦」とは別に「非公式戦」も存在するため、「非公式戦」に対して「公式戦」という言い方をして区別しているのです。

日本将棋連盟のホームページではこれら15の戦いのことはやはり「棋戦」と書かれています。

 

【タイトル戦の概要(主催者、流れ、優勝賞金)】

それぞれのタイトルの主催者、タイトル戦の流れ、優勝賞金は次のとおりです。

タイトル名 主催者 タイトル戦の流れ 優勝賞金(推定)
竜王戦 読売新聞社 トーナメント(竜王ランンキング戦)→本線トーナメント→竜王戦七番勝負 3900~4200万円
名人戦 毎日新聞社
朝日新聞社
名人戦順位戦→名人戦七番勝負 2000~2500万円
叡王戦 ドワンゴ 段位別予選→本線トーナメント→叡王戦七番勝負 2000~3000万円
王位戦 北海道新聞社
中日新聞社
西日本新聞社
トーナメント予選→挑戦者決定リーグ→挑戦者決定戦→王位戦七番勝負 750~1000万円
王座戦 日本経済新聞社 一次予選→二次予選→挑戦者決定トーナメント→王座戦五番勝負 500~800万円
棋王戦 共同通信社 予選→挑戦者決定トーナメント→敗者復活戦→挑戦者決定戦→棋王戦五番勝負 500~600万円
王将戦 スポーツニッポン新聞社
毎日新聞社
一次予選→二次予選→挑戦者決定リーグ→王将戦七番勝負 300万円
棋聖戦 産経新聞社 一次予選→二次予選→挑戦者決定トーナメント→棋聖戦五番勝負 300~1000万円

このうち、「叡王戦(えいおうせん)」は2017年に5月にタイトル戦になったばかりです。

表の「タイトル戦の流れ」を見ると、どれも本戦に行くまでが長い道のりなんですね。

では、タイトル戦のことがわかったところで、やっと五段昇格条件について、ひとつずつ説明していきます。

【竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝】

上の表で分かるとおり「竜王ランキング戦」とはいわゆる竜王戦の予選のことです。

この竜王ランキング戦は、1組から6組に分かれて戦いますが、1組が最上位で6組が最下位のグループです。「昇級」というのは例えば6組のなかで準決勝に残った4名が5組へ昇格できます。他に細かいルールはありますが、2回連続して昇級できれば、あるいは竜王ランキング戦通算で3回優勝すれば四段から五段に昇格できるということです。

【藤井四段の竜王戦戦績】

では藤井四段の2017年の第30期竜王戦はどうだったかというと、

新人なので最下位の6組で出場し、1回戦では最近テレビにもよく出演している加藤一二三九段(加藤1239段ではありません、加藤ひふみ9段です!念のため。)を破った他、全部で6回対戦して、なんと6組で優勝しました!

ということは、6組から5組に昇格できたということですね。なので、次回の竜王ランキング戦は5組で戦うことになります。その中で上位4名に残れば2回連続昇級となり五段になれる、ということです。

あるいは、今年優勝したので、連続でなくとも今後あと2回竜王ランキング戦で優勝しても五段になれます

【名人戦順位戦C級1組昇級】

「名人戦順位戦」というのは、上の表を見てわかるとおり、やはり名人戦の予選のことです。

竜王戦と名人戦は予選にもちゃんとした名前がついてるんですねー。

その順位戦ですが、A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5つのクラスに分かれていて、A級で優勝した人が名人戦に挑戦する事ができます。

原則、新人棋士はC級2組からスタートします。そこからA級に上がり名人戦に挑戦できるまでには最短で5年もかかるんだそうです。長い!

ただ、四段から五段に上がるためにはC級2組から1組に昇格すればいいということです。

どうしたら昇格できるか、ということですが、C級2組の場合は10戦対局して成績上位3名がC級1組に昇格できます

【藤井四段の順位戦の戦績】

では、藤井四段の順位戦の状況はどうなってるのでしょうか?

第76期順位戦はまさに現在対戦の真っ最中です。

C級2組の参加者は50名います。2017年9月現在でそれぞれ3局あるいは4局が終わっています。

この中で藤井四段は3勝0敗!頑張ってます。

ただし、4戦全勝の人が3名います。また3戦全勝が藤井四段の他に3名います。つまり、4位タイってことです。

<9月17日追記>
9月14日の順位戦第4局で藤井四段が勝ちました!これで4戦全勝です。

<順位戦の最新情報がわかります>

順位戦はひと月に2日間のみしか開催されず、ひとり一局ずつしか対戦しません。つまり、順位戦は10回戦う必要があるので、終わるのに10ヶ月もかかります。

今年は6月に始まったので、人によって9月現在で3局あるいは4局終わったということです。

10戦すべて終わるのは来年2018年の3月です!

上位3人しか昇級できないのでまだまだどうなるか分かりませんね。

全くの将棋素人でしたが、いろいろ調べていくうちに、興味が沸いてきましたよ!

これ以外の五段昇格条件は次回でお知らせしますね。

(参考:日本将棋連盟)

<藤井四段が五段に昇格できない理由(1)プロ棋士の世界を知る>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(2)なぜ藤井「四段」なのか>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(3)竜王戦と名人戦の昇格条件>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(4)公式戦100勝他の条件>

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