前回に引き続き、四段から五段に昇段するための条件について調べた結果をお知らせします。
五段への昇格条件は以下の5つでした。
・竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
・名人戦順位戦C級1組昇級
・タイトル挑戦
・全棋士参加棋戦優勝
・公式戦100勝
これらのうち、上2つは前回お伝えしました。
<藤井四段が五段に昇格できない理由(1)プロ棋士の世界を知る>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(2)なぜ藤井「四段」なのか>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(3)竜王戦と名人戦の昇格条件>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(4)公式戦100勝他の条件>
今回は残りの3つについてお伝えします。
これで、藤井四段が今どういう状況にあって、今後どうしたら五段に昇格できるのかがやっとわかりました。あー、すっきりした!
【タイトル挑戦とは】
「タイトル」とは、前回も書きましたが、次の8棋戦のことをいいます。
・竜王戦・名人戦・叡王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦
「タイトル挑戦」とはタイトル戦の予選を勝ち抜いて、タイトル保持者と戦うことつまり挑戦することです。
8つのタイトル戦のいずれかでタイトル保持者と戦うところまでいけば四段から五段への昇段条件クリアということです。
前回のおさらいにもなりますが、各タイトル戦のタイトル挑戦までの道のりは以下の表のとおりです。また藤井四段の各タイトル戦の状況も記載しました。
タイトル名 | タイトル戦の 流れと 開催期間 |
藤井四段の 勝敗 ○:勝、●負 |
---|---|---|
竜王戦 <詳細> |
■12月~6月 竜王ランキング戦 ↓ ■7月~9月 決勝トーナメント ↓ ■10月~12月 竜王戦七番勝負 |
2016/12/24 ○ランキング戦 2017/2/9 ○ランキング戦 2017/3/16 ○ランキング戦 2017/4/13 ○ランキング戦 2017/5/1 ○ランキング戦 2017/5/25 ○ランキング戦 (決勝) 2017/6/26 ○決勝トーナメント (1回戦) 2017/7/2 ●決勝トーナメント (2回戦) →敗退 |
名人戦 <詳細> |
■6月~3月 名人戦順位戦 ↓ ■4月~6月 名人戦七番勝負 |
2017/6/15 ○順位戦 (C級2組) 2017/7/6 ○順位戦 (C級2組) 2017/8/10 ○順位戦 (C級2組) 2017/9/14 ○順位戦 (C級2組) 2017/10/12 ○順位戦 (C級2組) 2017/11/2 ○順位戦 (C級2組) →次戦 2017/12/7予定 |
叡王戦 <詳細> |
■6月~10月 段位別予選 ↓ ■11月~12月 本線トーナメント ↓ ■3月~6月 叡王戦七番勝負 |
2017/6/10 ○四段戦 2017/6/10 ○四段戦 2017/10/9 ○四段戦 (準決勝) 2017/10/9 ○四段戦 (決勝) →本戦トーナメント 出場決定 |
王位戦 <詳細> |
■8月~12月 トーナメント予選 ↓ ■1月~5月 挑戦者決定リーグ ↓ ■5月 挑戦者決定戦 ↓ ■7月~9月 王位戦七番勝負 |
2017/8/15 ○予選 (第7組) 2017/10/19 ○予選 (第7組) 2017/11/24 ○予選 (第7組準々決勝) →予選 (準決勝) |
王座戦 <詳細> |
■8月~3月 一次予選 ↓ ■4月~7月 二次予選 ↓ ■7月 挑戦者決定トーナメント ↓ ■9月~11月 王座戦五番勝負 |
2017/9/20 ○一次予選 2017/11/21 ○一次予選 →準決勝 |
棋王戦 <詳細> |
■1月~6月 予選 ↓ ■6月~12月 挑戦者決定トーナメント ↓ ■12月 敗者復活戦 ↓ ■12月~1月 挑戦者決定戦 ↓ ■2月~4月 棋王戦五番勝負 |
2017/1/26 ○予選 (6組) 2017/3/23 ○予選 (6組) 2017/4/26 ○予選 (6組) 2017/6/2 ○予選 (6組決勝) 2017/2/24 ●挑戦者決定 トーナメント →敗退 |
王将戦 <詳細> |
■1月~ 一次予選 ↓ ■~9月 二次予選 ↓ ■10月~12月 挑戦者決定リーグ ↓ ■1月~4月 王将戦七番勝負 |
2017/3/1 ○一次予選 (7組) 2017/4/4 ○一次予選 (7組) 2017/5/12 ○一次予選 (7組) 2017/6/21 ○一次予選 (7組) 2017/8/4 ●一次予選 (7組決勝) →敗退 |
棋聖戦 <詳細> |
■6月~ 一次予選 ↓ ■~1月 二次予選 ↓ ■2月~5月 挑戦者決定トーナメント ↓ ■6月~8月 棋聖戦五番勝負 |
2017/7/24 ○一次予選 (ハ組) 2017/7/24 ○一次予選 (ハ組) 2017/9/27 ○一次予選 (八組準決勝) 2017/11/29 →(八組決勝) |
予選を勝ち抜くことですらすごいことなのに、それがプロ棋士最下段位である四段から五段への昇段条件なんて、厳しすぎる、と思ってしまいます。
【全棋士参加棋戦優勝】
「全棋士」とは、プロ棋士全員のことです。プロ棋士とは日本将棋連盟に所属しているプロ四段以上の棋士です。2017年9月現在でプロ棋士はおよそ200名です。
「全棋士参加棋戦」とはプロ棋士全員の参加が義務づけられている棋戦のことをいいます。
プロ棋士全員の参加が義務づけられている棋戦は、
■タイトル戦すべて(8棋戦)
・竜王戦
・名人戦
・叡王戦
・王位戦
・王座戦
・棋王戦
・王将戦
・棋聖戦
■一般公式戦7棋戦のうち以下の2棋戦
・朝日杯将棋オープン戦
・銀河戦
です。
上記棋戦で優勝すれば五段に昇格できます。
【公式戦100勝】
「公式戦」とは何を指すか、というと、先に挙げた8つのタイトル戦および、7つの一般公式戦を合わせた言い方です。一般公式戦とは下表の通りです。
タイトル名 | 主催者 |
---|---|
朝日杯将棋オープン戦 | 朝日新聞 |
銀河戦 | 囲碁・将棋チャンネル |
NHK杯将棋トーナメント | 日本放送協会 |
JT将棋日本シリーズ | JT |
新人王戦 | しんぶん赤旗 |
上州YAMADAチャレンジ杯 | ヤマダ電機 |
加古川清流戦 | 加古川市・財団法人加古川市ウェルネス協会 |
タイトル戦と一般公式戦を合わせた15の棋戦で通算100勝すれば四段から五段に昇格できます。
藤井総太四段の現在の勝敗は、10月末の時点で48勝6敗です。プロデビュー戦が2016年の12月なので、約10ヶ月で48勝。100勝まで残り52勝です。
このままのペース、つまり1ヶ月4.8勝のペースで進めば、11ヶ月後の2018年9月には100勝達成です。
少し控えめに、1ヶ月4勝のペースだとしたら、100勝達成は13ヶ月後の2018年11月です。
さらに厳しく、1ヶ月3勝のペースで想定すると、18ヶ月後の2019年4月になります。
【まとめ】
以上、藤井総太四段が五段に上がるための条件について調べてきました。おさらいすると、四段から五段に昇格するためには以下の5つのうちいずれかをクリアすることです。
1.竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
2.名人戦順位戦C級1組昇級
3.タイトル挑戦
4.全棋士参加棋戦優勝
5.公式戦100勝
そして、藤井四段がそれぞれの条件を最短でクリアできるのは
1.竜王ランキング戦連続2回昇級または通算3回優勝
来年の6月
2.名人戦順位戦C級1組昇級
来年の3月
3.タイトル挑戦
藤井四段の8タイトル戦の戦績は次の通りです。
・竜王戦:敗退
・名人戦:継続中・・・来年4月にタイトル戦
・叡王戦:継続中・・・来年3月にタイトル戦
・王位戦:継続中・・・来年7月にタイトル戦
・王座戦:対戦前・・・来年9月にタイトル戦
・棋王戦:敗退
・王将戦:敗退
・棋聖戦:継続中・・・来年6月にタイトル戦
9月現在で勝ち残っているのが5タイトル戦です。このまま勝ち続けてタイトル戦までいけば「タイトル挑戦」となり五段に昇格できます。最も早く五段になれるのは来年3月にタイトル戦がある叡王戦でタイトル挑戦と決まることです。
4.全棋士参加棋戦優勝
8つのタイトル戦のうち、現在予選で勝ち残っている5棋戦と、一般公式戦の2棋戦のいずれかで優勝。
5.公式戦100勝
現在48勝なのであと52勝。今のペースでいけば2018年9月、ペースが落ちたとしても2019年4月には100勝達成(期待)。
なので、藤井四段が最も早く昇段できるのは
2.名人戦順位戦C級1組に昇級する可能性:来年3月
もしくは
叡王戦のタイトル戦に挑戦できる可能性:来年3月
ということで、いずれにしても五段に昇格できるのは最速で来年3月ということになります。
4回に分けて、藤井四段が五段にいつどうしたら昇格できるのかについて、順序立てて説明してきました。長い道のりでしたが、私自身がだいぶ理解することができました。これを読んでいただいたあなたはいかがだったでしょうか?
これで、藤井四段の毎回の対戦を興味を持って見ることができます。
みなさんで応援しましょう!
(参考:日本将棋連盟)
<藤井四段が五段に昇格できない理由(1)プロ棋士の世界を知る>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(2)なぜ藤井「四段」なのか>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(3)竜王戦と名人戦の昇格条件>
<藤井四段が五段に昇格できない理由(4)公式戦100勝他の条件>