10月6日に朝日杯将棋オープン戦の一次予選に勝ち、二次予選進出が決まったばかりの藤井聡太四段ですが、さっそく本日、叡王戦の予選がありました。
叡王戦の予選はスケジュールが大変厳しく、本日10月9日(月)も、四段戦の準決勝と決勝の2回戦が組まれており、準決勝で勝てば、いきなりその日にもう1局決勝が組まれています。
午前10時からは三枚堂達也五段と杉本和陽四段の対局がありました。この結果は杉本四段が勝利しています。
そして、午後2時からは藤井四段と佐々木大地四段の対局があり、藤井四段が佐々木大地四段を破り、決勝に進出しました!
この後、夜7時から藤井四段と杉本四段が対局し、午後9時49分に藤井四段の勝利が確定しました!この結果、藤井四段は叡王戦の本戦トーナメント出場が決定しました。
【叡王戦の本戦トーナメントとは】
叡王戦というのは、2015年から新たにタイトル戦に加わった新しい棋戦です。
現役のプロ棋士全員に加え、主催者の推薦により決定する女流棋士1名と、アマチュア1名が出場します。
段位別(九段~四段別)予選の上位棋士が次の本戦トーナメントに出場でき、そこで勝ち残った2名が決勝七番勝負を行う、というルールです。七番勝負ということは、先に4勝した棋士が優勝となり、「叡王」の称号を獲得します。
ここで気づかれた方もいると思いますが、ルールが他のタイトル戦と大きく異なります。というのは、他のタイトル戦は予選や本選で勝ち抜いた棋士がタイトル挑戦権を得て、前年のタイトル保持者に挑戦します。つまり、タイトル保持者が本戦に参加することはないのです。
しかし、この叡王戦は、前回タイトル保持者も本戦から参加します。なので、場合によっては前年タイトル保持者が早々と敗れて去ってしまうことがあるということです。タイトル保持者にとってはなかなか厳しい棋戦ですねー。
でも、このルールは今回の第3期までのようです。第4期以降は他のタイトル戦と同じく、本戦優勝者が叡王への挑戦権を獲得し、前回タイトル保持者と対戦することになっています。つまり前回の叡王は本戦に出場はせずに、挑戦者を7番勝負で待ち受けることになります。
【叡王戦は棋士にとって厳しい日程】
叡王戦の予選は段位別であることは先にお話ししましたが、予選から本戦に勝ち残ることができる棋士の数は段によって異なります。
・九段は上位5名
・八段は上位3名
・七段、六段、五段は上位2名
・四段は上位1名のみ
の15名が本戦に進むことができます。そして、前回の叡王を含めて16名で本戦を戦います。
ちなみに、推薦枠で出場できる女流棋士とアマチュア各1名は、四段戦の枠で予選に出場します。
叡王戦でもうひとつ他の棋戦と異なるのは、スケジュールが厳しい、ということです。予選は1日に2局対戦することが結構あるようです。
10月9日に対戦した藤井四段も、1回目の対局で勝利した後、同じ日にもう1局戦ったということになります。もちろん、決勝の対戦相手も同じ日に1戦交わして勝利した棋士です。
【藤井四段の今日の結果は?】
では、藤井四段は叡王戦ではどういう状況だったのでしょうか?
これまで2局戦って勝ち残っています。
この2局というのも同じ日に2局戦いました。
■6月10日 梶浦宏孝四段 に勝利
■6月10日 都成竜馬四段 に勝利
そして本日は、
■10月9日 (準決勝)佐々木大地四段に勝利(通算44勝目)
■10月9日 (決勝)杉本和陽四段 に勝利(通算45勝目)
準決勝で佐々木大地四段に勝ち、もう一つの準決勝で三枚堂五段に勝利した杉本和陽四段(26歳)と対戦しました。
藤井四段は佐々木大地四段には97新人王戦の準決勝で負けた強敵でした。その佐々木大地四段は先の10月6日の新人王三番勝負の第1局で増田康宏四段に敗れています。これで佐々木大地四段とは1勝1敗となりました。
杉本四段とは初対戦でした。
【叡王戦本戦トーナメントの今後】
先に書いたとおり、本戦トーナメントは各段位別の上位者が揃います。四段がプロでの最下段位なので、藤井四段にとってはこれまでになく厳しい戦いが待ち受けています。
すでに本戦トーナメントへの出場が決まっている棋士は、
■九段:渡辺明竜王、丸山忠久九段(他3名は未定)
■八段:3名未定
■七段:小林裕士七段(他2名は未定)
■六段:2名未定
■五段:2名未定
です。渡辺明竜王や、名人・棋王になったこともある丸山九段との対局は楽しみですね。